今回の書籍紹介は真山仁さん著『”正しい”を疑え!』をご紹介します。
皆さんはSNSのコミュニケーションの中で、意見を押し付け合う人を見たことはありませんか?
あなたが正しいと思っていることは、本当に正しいのでしょうか?
この本を読むことで、”正しい”を疑う姿勢と、自分らしく生きるヒントが学べます!
そんなあなたのために、この記事ではこの本の大まかな内容と、どんな人におすすめなのかをざっくりと分かりやすく紹介します。

この記事はあくまでも「紹介」であり、「感想・書評」ではありません。
皆さんの本選びの参考にしていただくのが目的なので、クリティカルなネタバレはしないようにしています。
こんな人におすすめ

この本の著者、真山仁さんの小説(『ハゲタカ』シリーズなど)が好きな人にもおすすめです。
どんな本?

『”正しい”を疑え!』は、中高生をターゲットとした岩波ジュニア新書から出版されています。
著者は作家の真山仁(まやまじん)さん。経済小説の「ハゲタカ」シリーズが有名ですね。真山さんは小学生の頃から、「納得できない」「違うんじゃないか」と思うことは周りの空気に関わらずはっきりと意を唱える子供だったそうです。
作家としても、社会に対する疑問や違和感、不条理などを扱った様々な小説を書き続けています。
そんな著者が、世の中の”正しい”とされているものを疑う姿勢の大切さを解説したのが本書『”正しい”を疑え!』です。
書籍情報
- ”正しい”を疑え! / 真山仁
- 岩波ジュニア新書
- 2022年9月21日 初版発行
- 860円+税
- 179ページ

余談ですが、この本の装丁めちゃ格好いいですよね。
ちなみに厚みはこんな感じ。(iPhone15との比較です)

”正しい”は、一つではない。
現代では、「多様性」という言葉が頻繁に用いられるようになりました。
そんな時代だからこそ、一つの物事でも、見る角度や立場によって様々な捉え方や感じ方があります。「みんな違ってみんないい」のです。
だからこそ、当たり前に正しいとされていることでも疑ってみる姿勢を持つべきだと著者は語ります。
しかし、この日本という国においては、多数派の意見に迎合したり、自分とは異なる考えを押さえ込もうと向きになって反論したりということが多く見られる気がします。コロナ禍ではそれが特に顕著でした。
- 緊急事態宣言下で、強制力はないにも関わらず多くの人が外出を自粛した
- 多くの人が自粛する中、そうしない人に対して誹謗中傷とも言える非難を行う(自粛警察)
もちろん空気を読んだり、自分の考えを主張したりすることは悪いことではありません。ただ、日本人の気質として、「和をもって貴しとなす」精神が根強く残っているため、多数派に合わせたり、少数派を非難してしまうのかもしれません。「村八分」という言葉が残っているのも、日本人が長きにわたってこのような考え方をしてきた民族である証拠です。

この辺りの話は、同じく岩波ジュニア新書から出ている鴻上尚史さんの『空気を読んでも従わない』を読むと理解が深まると思います。
しかし、必ずしも多数派が正しいというわけではありません。それぞれの見方や立場によって正しさは変わってくるはずです。そして時に、正しさを疑う姿勢が物事を良い方向に進めたり、新しいアイデアを産むことにつながることを私たちは知っています。
だからこそ著者は、正しいを疑え!と言っているのです。
本書では、生活の中で正しさを見抜く能力を磨くために、コミュニケーションの方法や情報の受け取り方や向き合い方について解説しています。
社会の「当たり前」を疑い、主体的に考えたい人にはピッタリの一冊です!
5つ星総合評価
- 読みやすさ ☆☆☆☆☆
- 面白さ ☆☆☆
- ためになる ☆☆☆☆
- 話題性 ☆☆
- おすすめ度 ☆☆☆
※しばとしょの個人的な感想です。
本書は岩波ジュニア新書から出版されており、中高生向けに書かれているため、とても読みやすい文章で綴られています。
それでいて、深く考えさせられる内容となっているため、自分のものの見方が広がる感覚が得られるでしょう。
内容的に、様々な経験を経て読んだ方がより理解が深まると思いますが、新しいものの見方を身につけたい人には良い学びが得られると思います。

最後に「疑う力」を養うための筆者オススメの方法が紹介されていますが、ここは人によって受け取り方が異なるかもしれません。
どんなことを学べる?
メディアや情報に振り回されない力

テレビやネットニュースでは、センセーショナルな言葉や映像で「読者にこう思わせたい」という意図が隠れていることがあります。
例えば、ある政治家や政策を批判する記事は、実はライバル政党の立場から書かれているかもしれません。それを知らずに信じてしまうと、情報に踊らされてしまいます。
昨今では、AI技術の進歩が目覚ましく、誰でも手軽に利用できるようになってきたことで、フェイクニュースが溢れ、正しい情報を見抜くことがより一層難しくなっています。
真山さんは、「そのニュースの背景に何があるか?」「だれの視点で語られているか?」を見抜く目を持とうと教えてくれます。自分の目で見て、自分の頭で考えることが大事だと改めて気づかされます。
「正しさ」は一つじゃない

私たちはよく、「これは正しい」「あれは間違ってる」と言いますが、それは見る人の立場や背景によって変わるものです。
- ある企業が利益を出した → 経営者にとっては「正しい戦略」
- でも、その過程で多くの人がリストラされた → 社員にとっては「間違った選択」
また、昔は当たり前だったことが、今では「それはダメ」と言われることもたくさんあります。
- 昔:女性は家にいるのが当たり前
- 今:誰でも働ける社会に向かっている
つまり、「正しさ」は永遠に変わらないものではないということ。
真山さんは、「どの立場から見るかで、“正しさ”は変わる」と強く訴えています。
そして、「一つの正しさにすがること」は、かえって社会を危うくする可能性があるとも指摘しています。
だからこそ、「自分が正しいと思っていること」にも、一度立ち止まって疑ってみる姿勢が大切なんですね。
「疑う力」を養う方法が学べる

著者の真山さんは、「疑う力」を養うために、「〇〇〇〇〇〇を読め!」と主張します。
ここが本書の中で一番著者のオリジナリティーが溢れている部分です。
ここに関しては、実際手にとって、読んでみてください。
そして実践してみて効果のほどを確かめてほしいと思います。
まとめ

今回は岩波ジュニア新書から真山仁さん著『”正しい”を疑え!』をご紹介しました。
この本は、知識を増やす本というより、「物の見方」を変えるきっかけを与えてくれる本です。
読めば読むほど自分の見方や考え方が広がり、「考えるって面白い」と感じられるようになります。
気になったら、ぜひ手にとってみてくださいね。
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